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2010年5月1日土曜日

015_個展「沈黙の理由」展示作品
































































































ご先祖様の守りの強い女の子というのがいる。箱入りと言った物ではない。内的世界の暴発を防ぎ。ありあまったエネルギーのはけ口をきちんと確保した人生を歩める女の子の事だ。撮影者の放つ、よこしまな視線すら自粛させられるナニカの強い力。被写体の置かれた危機的状況の中でも無事生還させる強い守りが彼女にはあった。背景の中に潜みうごめいているのは撮影者の深淵から湧いて出て来た魔物の姿であろう。あと一歩が踏み込めない心情を忠実に再現してみたのだった。要するに、意図はないまま素材を収集し、自分の心の有り様が結果として形になった作品なのだなと。ご先祖様に信用されるまでは、先に行けない撮影とは、なんぞや?

014_個展「沈黙の理由」展示作品
































































































作品作りの撮影現場はがまの油のがま。油をしぼられるのが自分なのか、被写体なのか、きわどい戦いになることもある。追いつめて追いつめて追いつめても自分の心の殻から抜け出せない、その理由はわかっている。沈黙を選んだ理由は、そんな情けないものだ。無情にも残酷にも目の前の風景に戸惑う。そのあどけなさとアンバランスな諸々。壊したくない何かを自分の中に合わせ見ているに違いない。追いつめられて、あぶり出されて、映し出されていくのはどうやら自分自身のようだ。

016_個展「沈黙の理由」展示作品






















腰の細い女性に、腰の悪い人が多い。上半身を支えきれずにウネウネとした姿勢を続けている限り、腰はよくならない。成熟したセクシーさと机の上で居眠りする姿勢の悪さは別次元の物ではあるのだが、中年男の「赤ちゃん帰り」的な目線で見てしまうと、そのウネウネに、妙な憧れを隠す事はできない。被写体の目指す処の強さ、女性力の大きさ、それとは全く違う観点で「怖いものしらず」と決めつけてしまうところに疑似恋愛手法の撮影は破綻する。その素直な気持ちのまま仕上がってゆくのが「絵」としての画像いじり写真だ。しかし、写しきれなかった被写体の魅力だけが、撮影者の心には焼き付いてはなれないのだ。数年後にリベンジしてみたい。大人になった被写体に。